地域を「素材」にしないために

最近、「地域を盛り上げる」という言葉について考える機会がありました。

「この地域にはポテンシャルがある」
「まだ知られていない魅力がある」
「地域の良さをもっと発信したい」

どれも前向きな言葉です。私自身、地域のWebサイトを運営し、地域情報を発信しているので、同じようなことを考える場面もあります。

でも、ときどき違和感があります。

地域は、誰かが暮らしている場所

地域の魅力を探していくと、景色、食、祭り、文化、人など、さまざまなものが見つかります。

それらを「地域資源」として捉え、発信することもできます。

ただ、その視点が強くなりすぎると、地域そのものを「魅力的なコンテンツを生み出すための素材」として見てしまうことがあります。

祭りひとつをとっても、外から見れば魅力的な伝統文化ですが、地域の人にとっては、家族や同級生、近所の人が関わりながら長年続けてきた暮らしの一部です。

そこには、外から見ただけでは分からない歴史や関係性があります。

「知らない」ことより、「知ろうとしない」こと

地域外から来た人だから分かる魅力もあります。

だから、外から地域に関わること自体が問題なのではありません。

地域の魅力を「資源」として捉え、外に届けることで、人やお金の流れが生まれ、それが地域を続けることにつながる場合もあると思います。

私が気を付けたいのは、「資源」という視点だけで、その地域をわかったつもりになってしまうことです。

大切なのは、自分には分からないことがあると認識することではないでしょうか。

「この地域ではどう呼ばれているんだろう」
「地元の人はどう捉えているんだろう」
「この発信の仕方に違和感はないだろうか」

分からなければ、地域の人に聞けばいい。

その小さな確認の積み重ねが、「地域を使う」のではなく「地域に関わる」ことにつながるのだと思います。

「盛り上げる」より、暮らしに小さなプラスを

そもそも、地域の人は「地域を盛り上げてほしい」と思っているのでしょうか。

私は「地域を盛り上げる」ことを目的にするよりも、ここで暮らす人にとって少し便利になったり、楽しくなったり、地域との接点がひとつ増えたりすることを大切にしたいと思っています。

その小さな変化が積み重なった結果、地域に人の動きが生まれたら良い。

地域は誰かがプロデュースするための素材ではなく、誰かの日常が続いている場所です。

地域に関わる一人として、そのことは忘れないでいたいと思います。